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❖トリンシック・トリビューン 2015年2月16日
【密輸組織、一斉検挙 連続誘拐事件に関与か】
トリンシック騎士団は2月16日深夜、密輸や誘拐に関与した疑いで、商人に偽装してトリンシック港に停泊していた犯罪グループの一斉検挙を行ったと発表した。
すでに25名が拘束され、所有する船舶や倉庫からは大量の武器や資材が押収されている。
問題の組織は、近年バッカニアーズデンやニュジェルムで勢力を広げている海賊と取引があり、武器や兵器の密輸のほか、トリンシックで頻発している失踪事件にも関わりがあると見られていた。
容疑者たちはトリンシック監獄に収容後、余罪について詳しく調査される。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ある男は言った、自分を許さなかったこの街が憎い、力を持つものが好きに振る舞って何が悪いのかと。
ある女は言った、愛しい男を死なせたこの街が憎い、名誉など命と較べてなんの価値があるのかと。
立場も年齢も言い分も様々な、彼らにただ1つ共通するのは、トリンシックに憎しみを抱いているということ。
些細なものでも構わない、憎悪は伝染する、俺の体を巡った黒い一滴が、彼らの小さな不満を際限なく肥大させる。
時に偽りの情報を、時に別の誰かを囮に差し出し、俺達は執拗な捜査を巧みに掻い潜り続けた。
少しづつ増える適応者、あらゆる場所に紛れ込む俺達の悪意、まさしく地下に根を張るように、この街を病ませる毒を広げていくのは楽しかった。
連日、深夜まで明かりの消えない市庁舎の窓を見ながら、俺は静かに夢想する。
いずれこの街に、抱えきれないほどの憎悪が溢れかえった時。
その時こそトリンシックは、内側から決壊する。
「───そこで何をしている?」
隠し扉の前で聖騎士の一人に見つかってしまったのは、完全に油断からだった。
ピカピカのプレートメイル、絹のチュニュック、そしてトリンシックの紋章を染め抜いた紫の盾。
俺は一瞬、ほんの一瞬、その輝かしい姿に言葉を失ってしまい、それは相手に致命的な不信感を与えるのに十分だった。
「こんな夜更けに出歩くなど、どんな理由あってのことだ? ……いや、今は答えなくていい、 幸いパラディン島はすぐそこだ。詳しい話は、我々の詰め所でゆっくり聞かせてもらおう」
思えばこの時点で決断しておけば良かった。
連れて行かれた立派な建物は、深夜にも関わらず十数人もが賑やかに過ごしていた。
どれだけあの制服に憧れただろう、どれだけこの島に立つ日を夢見ただろう。
聖騎士たちはみんな若々しく、未来があり、理想に燃えて、何もかも俺とは違っていた、
あくまで礼儀正しく、だが高圧的に質問を繰り返す男。それを横で諌め、呆けた俺を気遣う女。見張り台に立つ男女が笑い合う声。部屋の隅で誇らしそうに盾を磨く男。仮眠だろうか、離れたベッドで豪快にいびきをかく男。
……あーあ、そうだな、そうだろうよ。
し あ わ せ な ん だ な ぁ 、 お ま え た ち は
腹の底から、ふつふつと煮え立つような気分だった。
「どうしたの、もしかして具合でも悪いの?」
優しく触れてきた女の喉笛に、思い切り喰らいつく。
すぐさま叫び声を上げて飛びかかってくる男は、力任せに首を捩じ切って、腰に下げた高そうな剣を奪い取ってやる。
俺は不幸だから。
俺はずっと暗がりを這いずって、何一つ報われず惨めなままだから、お前らの眩しさに耐えられない、俺が行けなかった場所で笑うお前らが、羨ましくて妬ましくて、憎くて殺したくてたまらない。
それからはもう、喜劇のように。
次々駆けつける騎士たちを片っ端から斬りつけて突き刺して細切れにして引き裂いて叩き潰して噛み千切って引きずり出して踏みにじって。
幸せな奴は、幸せなまま死ねばいい。
天井までベチャベチャに汚す血と臓物の中で、俺はゲタゲタと笑った、なんだ、なあああんだ、全然大したことないじゃないか、こんなザマで、一体何を守れるっていうんだ?
昔の俺なら、軽く100回は殺されただろう、でも今の俺は刺されても切られても痛みはなく、傷はみるみる治り、腕力は化け物じみて強くなっていた。
いや違う、もうとっくに化け物なんだっけ。
俺は自分の腐り始めた腕を見て、ひどく虚しくなった、レクイエムの水薬を飲まないと、俺達の表皮はすぐに腐りだしてしまう。
聖騎士たちの中に、臆病者は一人もいなかった。
最期まで剣を握り締めた、愚かだが誇り高い死に様だった、俺にはとてもできないような。
あのアーサーでない誰かは、悲しんでくれるかなぁ。
真っ赤な部屋を後にして、とぼとぼと暗がりへ帰りながら、俺はそのことだけが気がかりだった。
❖トリンシック・トリビューン 2015年2月22日
【パラディン島に襲撃 夜勤の聖騎士が全員惨殺される】
連日続く失踪事件に怯えるトリンシックで、またも大事件が発生した。
本日未明、パラディン島聖騎士詰め所にて夜勤を行っていた聖騎士10数名が、全員惨殺体となって発見された。
現場は凄惨を極め、被害者たちは「何か」と激しく争った形跡があるという。
現在パラディン島は封鎖され、詳しい調査が行われている。
アーサー市長は夕刻から行われた葬儀に参列し、その後王都での評議会へ赴いた。
代理人として記者会見を開いたヘラルドのスペンサー氏によると、発見された遺体には昨年トリンシックで起きた大規模呪術感染事件、通称「ゾンビ事件」との関連が見られるという。
対策本部は今夜からトリンシック中に戒厳令を敷き、市民の外出、及び城塞内の出入りを厳しく制限するとのこと。
一刻も早い事件解決が待たれる。
以下、死亡者名簿(アルファベット順)
アリシア=シルバーリーフ(19)
バルド=テイラー(24)
カール=ローエン(22)
:
:
ジョン=バルフォア(21)
イベント【TRINSIC OF THE DEAD 2 ~ From Darkness ~】
── Season 1 Story ── Diary of Arthur
~Diary of Arthur~ 1
~Diary of Arthur~ 2
~Diary of Arthur~ 3
~Diary of Arthur~ 4
~Diary of Arthur~ FINAL
【密輸組織、一斉検挙 連続誘拐事件に関与か】
トリンシック騎士団は2月16日深夜、密輸や誘拐に関与した疑いで、商人に偽装してトリンシック港に停泊していた犯罪グループの一斉検挙を行ったと発表した。
すでに25名が拘束され、所有する船舶や倉庫からは大量の武器や資材が押収されている。
問題の組織は、近年バッカニアーズデンやニュジェルムで勢力を広げている海賊と取引があり、武器や兵器の密輸のほか、トリンシックで頻発している失踪事件にも関わりがあると見られていた。
容疑者たちはトリンシック監獄に収容後、余罪について詳しく調査される。
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ある男は言った、自分を許さなかったこの街が憎い、力を持つものが好きに振る舞って何が悪いのかと。
ある女は言った、愛しい男を死なせたこの街が憎い、名誉など命と較べてなんの価値があるのかと。
立場も年齢も言い分も様々な、彼らにただ1つ共通するのは、トリンシックに憎しみを抱いているということ。
些細なものでも構わない、憎悪は伝染する、俺の体を巡った黒い一滴が、彼らの小さな不満を際限なく肥大させる。
時に偽りの情報を、時に別の誰かを囮に差し出し、俺達は執拗な捜査を巧みに掻い潜り続けた。
少しづつ増える適応者、あらゆる場所に紛れ込む俺達の悪意、まさしく地下に根を張るように、この街を病ませる毒を広げていくのは楽しかった。
連日、深夜まで明かりの消えない市庁舎の窓を見ながら、俺は静かに夢想する。
いずれこの街に、抱えきれないほどの憎悪が溢れかえった時。
その時こそトリンシックは、内側から決壊する。
「───そこで何をしている?」
隠し扉の前で聖騎士の一人に見つかってしまったのは、完全に油断からだった。
ピカピカのプレートメイル、絹のチュニュック、そしてトリンシックの紋章を染め抜いた紫の盾。
俺は一瞬、ほんの一瞬、その輝かしい姿に言葉を失ってしまい、それは相手に致命的な不信感を与えるのに十分だった。
「こんな夜更けに出歩くなど、どんな理由あってのことだ? ……いや、今は答えなくていい、 幸いパラディン島はすぐそこだ。詳しい話は、我々の詰め所でゆっくり聞かせてもらおう」
思えばこの時点で決断しておけば良かった。
連れて行かれた立派な建物は、深夜にも関わらず十数人もが賑やかに過ごしていた。
どれだけあの制服に憧れただろう、どれだけこの島に立つ日を夢見ただろう。
聖騎士たちはみんな若々しく、未来があり、理想に燃えて、何もかも俺とは違っていた、
あくまで礼儀正しく、だが高圧的に質問を繰り返す男。それを横で諌め、呆けた俺を気遣う女。見張り台に立つ男女が笑い合う声。部屋の隅で誇らしそうに盾を磨く男。仮眠だろうか、離れたベッドで豪快にいびきをかく男。
……あーあ、そうだな、そうだろうよ。
し あ わ せ な ん だ な ぁ 、 お ま え た ち は
腹の底から、ふつふつと煮え立つような気分だった。
「どうしたの、もしかして具合でも悪いの?」
優しく触れてきた女の喉笛に、思い切り喰らいつく。
すぐさま叫び声を上げて飛びかかってくる男は、力任せに首を捩じ切って、腰に下げた高そうな剣を奪い取ってやる。
俺は不幸だから。
俺はずっと暗がりを這いずって、何一つ報われず惨めなままだから、お前らの眩しさに耐えられない、俺が行けなかった場所で笑うお前らが、羨ましくて妬ましくて、憎くて殺したくてたまらない。
それからはもう、喜劇のように。
次々駆けつける騎士たちを片っ端から斬りつけて突き刺して細切れにして引き裂いて叩き潰して噛み千切って引きずり出して踏みにじって。
幸せな奴は、幸せなまま死ねばいい。
天井までベチャベチャに汚す血と臓物の中で、俺はゲタゲタと笑った、なんだ、なあああんだ、全然大したことないじゃないか、こんなザマで、一体何を守れるっていうんだ?
昔の俺なら、軽く100回は殺されただろう、でも今の俺は刺されても切られても痛みはなく、傷はみるみる治り、腕力は化け物じみて強くなっていた。
いや違う、もうとっくに化け物なんだっけ。
俺は自分の腐り始めた腕を見て、ひどく虚しくなった、レクイエムの水薬を飲まないと、俺達の表皮はすぐに腐りだしてしまう。
聖騎士たちの中に、臆病者は一人もいなかった。
最期まで剣を握り締めた、愚かだが誇り高い死に様だった、俺にはとてもできないような。
あのアーサーでない誰かは、悲しんでくれるかなぁ。
真っ赤な部屋を後にして、とぼとぼと暗がりへ帰りながら、俺はそのことだけが気がかりだった。
❖トリンシック・トリビューン 2015年2月22日
【パラディン島に襲撃 夜勤の聖騎士が全員惨殺される】
連日続く失踪事件に怯えるトリンシックで、またも大事件が発生した。
本日未明、パラディン島聖騎士詰め所にて夜勤を行っていた聖騎士10数名が、全員惨殺体となって発見された。
現場は凄惨を極め、被害者たちは「何か」と激しく争った形跡があるという。
現在パラディン島は封鎖され、詳しい調査が行われている。
アーサー市長は夕刻から行われた葬儀に参列し、その後王都での評議会へ赴いた。
代理人として記者会見を開いたヘラルドのスペンサー氏によると、発見された遺体には昨年トリンシックで起きた大規模呪術感染事件、通称「ゾンビ事件」との関連が見られるという。
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詳細は コチラ
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