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【トリンシック東南部が封鎖 詳細不明】
2月23日の早朝から、トリンシック東南部の数カ所が騎士団により封鎖されていることが分かった。
現場には立ち入り禁止のロープが張られ、見張りの騎士も付いて物々しい雰囲気とのこと。
しかし今のところ市民はもちろん、報道関係者の接近も禁じられており、詳細は一切不明。
昨日起きた聖騎士大量虐殺事件との関連も含め、関係者の発表が待たれている。
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聖騎士たちを殺したのは、明らかに失敗だった。
ほとぼりが冷めるまで身を潜めよう、そう反省したのも束の間、まさか翌日にはこの下水道へ騎士団が突入してくるなんて、夢にも思わなかった。
俺とレクイエムは、まさにほうほうの体で逃げ出した。
捕まらずにあの場を脱出できたのは、奇跡のようなものだ。
迷路のような通路を這いまわり、ようやく騎士団の手が回っていない出口を見つけた時には、手も足もくたくたになっていた。
「愚かな真似をしたものだな」
レクイエムは俺の失態を許さなかった。
「あの薬が彼らの手に渡ったら、なにもかも台無しだ! せっかく上手いこと目を逸らしていたのに、自分から証拠を与えに行くなんて。君の脳味噌は無事だと思っていたが、どうやら間違いだったようだ」
あまりに前触れのない襲撃で、何一つ持ち出せていない、ここに持ち込んだ機材、作り貯めた黒い薬、大量の死体、全て置き去りだ、確かに物証には事欠かない。
「わかってる、浅慮だったのは謝る、だけど俺は全部殺したし、誰にも見られてなかったはずだ!」
いったいどうしてここがバレたのかわからない、仲間の情報ではあいつらは別件にかかりきりのはずだったのに。
俺は爪をギリギリ噛みすぎて、危うく指ごと噛みちぎってしまうところだった。
「……出直しだな」
「え?」
レクイエムの声は冷たかった。
「もうトリンシックに留まるのは危険だ。ここを離れる。といっても港も門も封鎖されているから、外から手を回してもらわなければならないがね」
立ち去る? 出て行く? また?
「ま、待ってくれよ、せっかくここまできたんだ、仲間だってできた、それを」
「こんな僅かな人数で何ができる? 根を張る前に抜かれたのでは何にもならない。私達の計画は失敗したんだ」
レクエイムは俺に取り合わず、出口の鍵を開ける。
「すぐ外に連絡を取る。それまでは誰か仲間のところに身を寄せるしかないな」
そんな簡単に諦められるのか、お前はこの街が憎いんじゃないのか、今までの数ヶ月が無駄になって悔しくないのか、あいつらに一泡吹かせたくないのか。
また負け犬のように、惨めにこの街から逃げ出すのか?
「────いやだ」
「いい加減にしたまえ、誰のせいだと……」
レクイエムは続きの罵倒を言えなかった。
かわりにゴボゴボと血の泡を吐き出す。
俺の手は痩せこけた胸を突き抜けて、脈打つものを掴み出していた、右手に力を込めて、それをグチャリと握り潰す。
「俺はもう、逃げない」
レクイエムの死体を下水の中に蹴り落として、俺は一人で外に出た。
レクイエムは騎士団の連中に殺された。
そういうことにした。
文字通り血を分けた仲間たちは、ひっそりと俺を匿い、俺の話を残らず信じてくれた。
もともと憎しみしかない連中だ、俺が言い出すまでもなく、復讐しようという話になるのは当然だった。
何人かはいつの間にか消えていたが、仕方ない、そういう奴はどこにでもいる。
どっちにしろレクイエムの水薬がなくなった今、俺達のように適応した者でも、そう長くは正体を隠していられない。
終わる前に、消える前に、俺は思い知らせたいんだ。
この街に、そして、あの男に。
まだ何もしないうちに、誰にも知られないうちに、こんな気持ちのまま、追い立てられるなど我慢できない。
「どうして奴らが下水道のことを突き止めたのか、わかりましたよ」
騎士団の動きを探らせていた仲間の一人が、ひっそりと俺に耳打ちした。
「ダイイング・メッセージです。……聖騎士の一人が、息絶える前に何か書き残していたとか」
そうか、と答えるのも億劫だった。
だから嫌なんだ、騎士なんてものは、どこまでも忠実で、誇り高くて、眩しすぎてうんざりする。
「壊そう」
俺は呟く。
「壊しましょう」
いくつもの声が唱和する。
命に糧が必要なら、俺達の命を燃やすのは、この真っ黒な感情の他にない。
❖トリンシック・トリビューン 2015年2月24日
【「ゾンビ事件」再び 犯人は旧下水道に潜伏か】
2月24日、トリンシック市庁舎は、今年1月から続いた一連の失踪事件、及び先月22日に起きた聖騎士虐殺事件を、昨年7月の「ゾンビ事件」関係者の犯行と断定したと発表した。
また犯人は少なくとも数ヶ月、トリンシック港地区地下の旧下水道内に潜伏していたことが分かった。
昨日発見された旧下水道は、トリンシック建設時に建てられたもので、地図からも消されていたため捜査上の盲点となっていた。
突入した調査部隊の報告によると、内部ではおぞましい実験が行われていた形跡があり、犯人はすでに逃走していたとのこと。
現場で採取された残留物はライキュームへ運ばれ、入念に分析されるという。
市としては、再び集団感染事件に発展することだけは、なんとしても避けたい意向だ。
また捜査本部は、各地の検問に不審な人物が現れないことから、犯人はまだ市内に潜伏しているものと推定。
旧下水道が伸びている港区、東区の全域、及び北区の一部を封鎖すると発表した。
トリンシック市庁舎は、引き続き市民にくれぐれも外出を控えると共に、何か不審を感じたらすぐにガードへ通報するよう呼びかけている。
イベント【TRINSIC OF THE DEAD 2 ~ From Darkness ~】
── Season 1 Story ── Diary of Arthur
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出雲フェルッカ デスパイス内
毎週土曜 夜11時~2時
次回のトリンシック市民会議は
2016年8月21日(日)夜10時
出雲トリンシック パラディン島
訓練施設内会議場にて開催
イベント予定
夏の益荒男祭り
蜘蛛城脱出大作戦!!
2016年8月7日(日)夜10時より
市政ストーン前集合
詳細は コチラ