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7月21日
ここの羽ペンは柔らかすぎて、どうも使いづらい。
我々は───私とアルバート、レイ、メラニーの4人は、夕刻ライキュームに到着した。
といってもマッティカン氏のゲートのお陰で、移動自体は一瞬だったが。
昨夜は明け方までかかって、ようやく公園周辺の封鎖が完了した。
感染者の大半は囲い込みに成功したものの、数名は取り逃がした可能性が高い。
感染は……おそらく止まらないだろう。
今朝、市民にも事実を公表した。
やはり動揺は大きく、これからは感染の阻止と共に市民のパニックも抑えていかねばならない。
騎士団と衛兵には、これまでの経緯と今後の作業について詳しく指示した。
今日からトリンシックは門扉を閉ざし、外部との出入りを禁じる。
未感染者には一時的な離郷を勧めたが、やはり大半の市民は残るそうだ。
市民の避難が済み次第、市内は区画ごとにバリケードを築き、内部に潜伏しているだろう感染者の侵入を防ぐ。
不慮の事態にも備え、それぞれの持ち場には特に判断力に優れた指揮官を選んでおいた。
彼らならば、私の不在の間も市民を守り抜いてくれるだろう。
アルバートの容体はけして良くはない。
だが我々は、例の小瓶が予防薬あるいは解毒薬……つまり、ワクチンである可能性に賭けたのだ。
これはアルバートのたっての希望でもある。
アルバートは、確かにあの液体を口にしていた。
毒に耐性があるゆえの無謀だが、それがこうして我々の希望を繋ぐことになったのだから巡りあわせとはわからない。
トリンシックを救う為になるのなら、実験でも検体でも構わないと言ったアルバートに、ライキュームの研究者たちは───率直に言って、狂喜していた。
彼らはまるで新しい玩具に目を輝かせる子供のようだ。
マッティカン氏が私を同行させたのは、私をトリンシックから出す口実ではないかと疑っていたのだが、彼らの様子を見るにあれは本当の理由なのかもしれない。
確かに監視者がいなければ、果てしなく脱線していきそうな危うい雰囲気がある。
所長のイスレイン殿からして、感染者の組織に直接触ろうとする猛者なのだ(思わず張り倒して遠ざけねばならなかった)
ここへ来てまだほんの数時間しか経っていない。
だが挨拶もそこそこに採血だの調書だのと引き回されて、想像以上に気疲れしている。
もっとも、この程度アルバートの苦痛と覚悟に比べればたいしたことではないのだが……。
あれからアルバートは意識を失ったまま、高熱で苦しんでいる。
レイとライキュームの魔術師たちがあらゆる手を尽くして看護しているが、命の恩人でもある彼に、何もしてやれないことが口惜しい。
もっと私に能力があれば……。
───いや、つらつらと愚痴など書くのはやめよう。
今私がすべきことは、一刻も早くワクチンを作成することだ。
今日はもう休み、明日私にもできることをしよう。
トランメルの月よ、せめてアルバートの眠りを守りたまえ。
そしてトリンシックの市民たちが、少しでも安らかな夜を過ごしていますよう。
7月22日
この真実の学府は、眠りとは縁がないようだ。
昨夜顔見知りになった錬金術師など、私が寝る前とまったく同じ姿勢で同じ薬を延々と煮詰め続けていた。
他の人々も似たり寄ったりの顔色で目に隈を貼り付けているのを見るに、ここではこれが普通ならしい。
アルバートの様子は、昨日より少し落ち着いていた。
不思議な管に繋がれて少量ずつ血を抜かれてはいるが、レイが言うには代替に魔法で生成した擬似体液を注入し、それが一時的に鎮痛剤の役目も果たしているのだそうだ。
熱も微熱程度まで下がったようで、本当に良かった。
彼の体から抗体を取り出すことができれば、我々はこの病に勝利できる。
しばらく待ったが目覚めなかったので、先にイスレイン所長に面会を求め、改めて今後について話し合いをした。
やはり彼らは、治療薬よりむしろ感染者の体のメカニズムの方に興味があるらしい。
協力の対価として感染者の一部を譲るよう求められたが、トリンシックの現状を見ればそれはあまりに危険な好奇心だ。
昼を回るまで説得を繰り返し、やっとワクチンの完成後は感染者の体組織をすべて焼き捨てることに同意してもらえた。
その後メラニーから、研究書の暗号解読で進展があったと報告を受けた。
さすが世界一の頭脳が集う場所だ。
この早さで解読が進めば、病の解析もそう遠いことではないかもしれない。
トリンシックに残した緊急回線からも、興味深い情報が手に入った。
どうやら感染者たちは、炎に弱いらしいのだ。
痛みも持たず剣も槍も恐れない彼らだが、炎に巻かれている間は活動を停止してしまう。
確かに振り返ってみれば我々が感染者を処理してきた方法は、すべて焼却によるものだった。
それが本能ゆえなのか細胞の変質のせいなのかは不明だが、この習性はおおいに利用できる。
市の各地に炎を起こせるもの───例えば火炎薬など───を配備しておけば、一般市民が感染者に襲撃を受けた時も、これらを使って逃げ切ることができるかもしれない。
早速市の貯蔵庫を開け、物資を配布するよう各部署に通達した。
少しでも効果があればいいのだが……。
ゆっくりではあっても、ここに来てから事態は確実に良い方へ向いている。
窓の外では虫が鳴いている。
そういえばもうこんな季節なのだ。
忙しなく過ごしすぎて、日差しの強さや気温の変化を殆ど気に留めていなかった。
夏は夜、というのはどこの詩人の言葉だったろう。
夜はすることがないせいか、どうも詮無いことばかり書き連ねてしまう。
眠ることのないライキュームは常に人の気配が動いていて、それが逆に安心する。
ここはとても美しい。
耳を澄ませば虫の声に混じって噴水の涼やかな水音も聞こえる。
幾筋も空に登っていく蒸留の白い煙に、輝くルーンの光が七色に映えて……
あぁ、夏が来ている。
7月23日
研究書の解読が進んだことで、ワクチン作成への道が一気に開けた。
薬学の大家であるというオフィリオ氏は、ここライキュームでは珍しく常識的な人物に見える。
彼はこの奇病の構造を「ウィルスと呪いの結婚」と評した。
人の意志と体を腐らせ、怪物のごとき存在に変えてしまう死霊術。
次々と感染し、術者がいなくとも自動でそれらのプロセスを行うウィルス。
上記の二つが巧妙に絡み合って生まれたのが、この病のごとき呪い、呪いのごとき病だというわけだ。
アルバートが持ち帰った液体は、いわばワクチンであると同時に、呪いを打ち消す聖水でもあったのだ。
ここにきて、ようやく私にもできることが与えられた。
オフィリオ氏が指示するとおりに、感染者の組織や彼が用意した薬品にひたすら解呪の騎士魔法を唱え続ける。
半日過ぎる頃にはマナ切れでくたくたになったが、オフィリオ氏によれば思った以上の成果を得られているらしい。
彼は興奮すると呼吸がおかしくなるのか、やけにシュルシュルと音を立てていた。
錬金術師は薬煙で喉を傷める者が多いと聞く……どうか大事にして欲しい。
トリンシックの封鎖も、今のところ順調なようだ。
例の火炎による撃退はやはり有効で、バリケードの防衛にも大きな成果を上げたと報告があった。
……ただ、感染者の数はじわじわと増え続けている。
一刻も早く事態を収拾しなければ、やがて押し負けてしまうだろう。
夜、アルバートが目を覚ましたと聞いて会いに行った。
全身の噛み傷は腐敗こそしていないものの、血と生汁を滲ませて酷い状態だ。
そのくせまだ片方の目だけでにやけてみせようとするのだから、まったく始末に負えない。
───思えば私は、まだ彼にきちんと礼すら言えていなかった。
生きたまま肉を齧り取られる……それも鋭い獣の牙ではなく鈍い人の歯で、幾度も幾度も。
いったいどれほどの苦痛だったろう。
確かに彼はトリンシックに忠誠を誓ってはいたが、だからといって赤の他人のために身を投げ出すなど、そう簡単にできることではない。
感謝している。
どんな金銭でも購えないほどに感謝している。
彼の命と引き換えに、今の私の命があるのだ。
そう言葉を尽くして頭を下げた私に、アルバートはただ頷くだけだった。
それよりトリンシックのことを聞かせて欲しいと言われ、私は今の状況をなるべく詳細に説明した。
無駄な期待や心配は省き、事実と経過だけを語るよう心掛けたつもりだ。
アルバートは夢や希望に縋るタイプではない。
しかしだからこそ、どうして彼のような男が身を挺してまで私を庇ったのかが不思議だった。
理由を訪ねてみたが、金一封を狙って失敗したなどとぬけぬけと言う。
本当にそうならどれだけ良かったか!
それから短い間くだらない話をし、体がつらそうなそぶりが見えたので退室することにした。
私が背を向けた時、アルバートは確かに言った。
───あんたが誰か知っている、と。
7月15日
明け方から夜まで、ずっとじめついた雨が降っている。
初夏の蒸し暑さと相まって、湿気が体に絡みついてくるような嫌な天気だ。
例の奇病に感染し、牢獄内の個室に隔離されていた二人の衛兵───ターナーとエリック───は、ここ数日ずっと扉に体当たりし続けていた。
彼らの腐った肉体が壊れるより先に、扉の金具の方が音を上げてしまったのだ。
こうして解き放たれた彼らは、手近にいた衛兵たちに次々と襲いかかっていった。
牢獄内での被害が最小限に留まったのは、ガードキャプテンであるレディ・オータムの機転あってこそだろう。
彼女は二人に立ち向かうより先に、他の無傷の衛兵たちを集めて武器庫に立て籠もった。
そして目標を見失った彼らが外へうろつき出ししていく隙にフルプレートで身を固め、再び彼らを捕縛しに走ったというわけだ。
貴重な衛兵の数を減らさずに済んだ判断は、称賛に値する。
───だが、
衛兵4名、通行人2名、トラベラーズ・インの従業員及び宿泊客6名。
ほんの1時間にも満たない間に、これだけの人間が感染した。
時刻が深夜に近かったことがせめてもの幸いだ。
これがもし人通りの多い昼間だったとしたら───それこそトリンシックの街は、阿鼻叫喚のパニックとなっていただろう。
そして今回の事件で明確になったことが一つある。
感染から発症までの時間は、感染経路を経るごとに早まっていく。
今回の被害者たちは、接触からほんの数分で体が腐敗を始め、理性を失っていった。
もはや手段や倫理に拘っている場合ではない。
これは死に至る病───それも、都市そのものが死に絶える病だ。
例え地獄に落ちるとしても、私はこの決断をするしかなかった。
すべての始末が済んだ後、騎士団の一隊に隠谷の魔術師たちを捕らえるよう命じて送り出した。
奴らには、必ずこの代償を支払わせねばならない。
まだ、城壁の外で赤々と燃える炎が見える。
7月16日
昨夜に続き、今日も一日中雨だった。
重たげな灰色の空を見ていると、気持ちまで沈んでくる。
トラベラーズ・インは戒厳令を敷いた上で、伝染病患者が出たとして一時的に施設の封鎖を行った。
レイの指揮の下、細心の注意を払って除染作業を進めているが、完了するにはだいぶ時間が掛かるだろう。
昨夜火葬を行った者達の家族に、事の次第を説明しに行った。
誰も恨み言を言わなかったのが逆につらい。
残された彼らには、末永く手厚い援助を行っていかなければ……。
7月17日
また今日も雨だ。
送り出した騎士団が、手ぶらのまま引き返してきた。
隠谷はすでにもぬけの空だった。
アルバートの侵入に気付いたのか、あるいはもう"実験"の結果に満足したのか……。
資料の類もまったく残っておらず、今となってはアルバートの持ち帰ったものが手がかりのすべてだ。
だがその研究書も液体も、解析は遅々として進んでいない。
やはり魔術施設の満足に揃っていないトリンシックでは、できることに限界がある。
施設も人材も充実したライキュームに支援を求める書簡を出し、王室補佐官にも現状を報告する早馬を送った。
まだ未知の部分だらけだが、万が一この奇病が他の街で発生するようなことがあればブリタニアは大混乱に陥ってしまう。
市街では長雨で病気が流行し始めたという噂が立っている。
きっと噂や病のように、不安もまた人々の間を伝染していくものなのだ。
7月18日
終わっていなかった。
まだ何も終わってなどいなかった!
北区の住宅街で、複数の世帯の感染が確認された。
感染源はどこだ?まだ取りこぼした何かがあったのか?
どちらにせよ、この区画は丸ごと封鎖するしかない。
原因も特定できないまま、ただ感染者を焼いていくのは無為の極みだ……。
皮肉だが噂は現実に追いついていたのだ。
騎士団からも流行病の対策を立てるべきだという声があがっている。
詳細は伏せるにしても、これ以上の感染拡大だけは防がねば……。
降り続く雨が忌々しい。
7月19日
流行病の対策という名目で、トリンシック中の識者を招聘した。
最初私の話を冗談と受け取っていた彼らも、感染者の姿を見てすぐに考えを改めたようだ。
まずすべきは感染源の特定、そして感染拡大の阻止。
市民ホールに対策本部を設置し、ここから各区画へ指示を飛ばす体制を整えた。
肝心の治療法については、ありがたいことに想像よりずっと早くライキュームからの返事が来た。
彼らはこの奇病に多大な関心を示しており、すぐにでも資料とアンプル、そして"現物を数体"寄越して欲しいとのことだ。
治療への希望が見えたのは嬉しいが、あれを───彼らを───外に出すには不安を感じる。
何か上手い手段を講じなくてはならない。
ちなみに街で夏風邪が流行っているというのは、どうやら本当らしい。
この件にあわせ、そちらの治療も進めていくことになった。
7月20日
地獄。
地獄だ───天の悪意すら感じる。
感染源がわかった。
この奇病が広がっていく原因は、あの腐った細胞組織にある。
肉片そのものでなくてもいい。
その腐敗した体液が溶けた水に触れるだけで充分なのだ───
対策本部に詰めながら、私は子供たちが公園の池で遊ぶのを見ていた。
そう、見ていたのだ。
ようやく晴れた、夏の青空の下で。
子供たちが、その笑顔を消す間もなく次々と発症していくのを。
すぐ側で私は見ていた。
おそらく5日前の事件で流された血が、長雨に洗われてあの溜池に流れ込んでいたに違いない。
……あの忌々しい雨……!
これは接触感染にばかり気を取られ、他の経路を無意識に除外していた我々のミスだ。
公園でくつろいでいた多くの市民は、瞬く間に阿鼻叫喚となった。
感染者たちの膂力は想像以上に凄まじい。
なにせ手足がもげようが骨が折れようが一向に気にかけないのだ。
それが猟犬のように追い縋ってくるのだから、この恐怖はとても言葉にできない。
あの時アルバートに庇われなければ、今死にかけていたのは私だっただろう。
いや、その前に彼らの仲間入りをしていたか……。
私がこうして筆を取っていられるのもアルバートのお陰だ。
その引き換えに彼は片目と片腕を失った。
レイとブルーノが必死で治療しているが───はっきり言って、長くはないと伝えられた。
しかし、それまでの時は少しでも引き伸ばしてもらわなければ。
アルバートは確かに感染者と接触した。
私の代わりに、よってたかって食いちぎられたのだから。
だが彼はまだ発症していない。
発症していないのだ!
原因と思しきものは一つしかない。
あの小瓶の中身。
アルバートが本当にあの液体を摂取していたのなら、我々にはまだ希望がある。
イベント【TRINSIC OF THE DEAD】
7月8日
政務中、真っ青になったブルーノと衛兵が駆け込んできた。
彼らの報告を聞いて思わず耳を覆いたくなった私を誰が責められるだろう。
S.Bが拘束から逃れ、側に居たバイロンとエイワスを襲った。
バイロンは頸動脈を噛み切られた上、はらわたを食い破られて即死。
エイワスは命こそ取り留めたものの、手足の肉を食いちぎられて危険な状態らしい。
S.Bは、咄嗟に魔法を唱えた副ギルド長のレイによって焼き払われたそうだ。
詳しいことを聞きたかったが、ブルーノも酷く動揺していて要領を得ない。
衛兵からも現場を清掃するまで待って欲しいと言われ、事件の凄惨さが窺い知れる。
とりあえずギルド契約の件を早々に片付け、明日改めてヒーラーハウスを訪ねよう。
7月9日
バイロンの遺体は腐敗が早かった為、今朝早くに北の墓地へ埋葬された。
彼の真新しい墓石の前で祈りを捧げてから、ヒーラーハウスへ向かった。
エイワスの様体は悪い……ひどい高熱が続き、顔色など土のようだ。
やはりバイロンの懇願に貸さず、S.Bは早々に隔離しておくべきだった。
まさか両腕を引きちぎってまで拘束を逃れるとは、誰が予想できただろう……。
S.Bに食いちぎられたあちこちの傷は痛々しく膿んでいる。
レイに、S.Bの燃えカスを見せられた。
彼の動きを完全に止めるまで、3度もフレイムストライクを唱えねばならなかったそうだ。
S.Bはいったい何者だったのだろう?
焼き殺す以外に方法はあったろうか?
分からない……アルバートが有用な情報を持ち帰ってくれるのを期待するしかない……。
7月10日
やはりS.Bはなんらかの保菌者だったに違いない。
昨夜エイワスが突然暴れだし、レイとブルーノを襲おうとしたそうだ。
念のため衛兵を残しておかなければどうなっていたことか……。
エイワスは全身を拘束し、牢獄に隔離するよう指示を出した。
鉄格子越しに見た彼は獣のように叫び続け、とてもあの気弱そうな青年と同一人物とは思えない。
またS.B同様傷口から腐敗を始めており、このままではやがて手足が腐り落ちてしまうだろう。
どうにか治療してやりたいが、こう凶暴性が強くては誰も近づけられない。
7月11日
あぁ……なんということだ!
あれほど厳重に注意したというのに!
噛まれなければ大丈夫だという油断があったのかもしれない。
エイワスを見張らせていた衛兵が、二人も感染した……。
報告によれば、彼らは噛まれておらず、ただエイワスが吐きかけた内臓の一部に───あぁ、そうだ、彼は内蔵まで腐っていた───何故動ける?何故意志があるように人を襲おうとする?───触れてしまったからだ。
触れてすぐ彼らは体調の悪さを訴え始め、検査のため隔離された直後、S.Bやエイワスと同じ症状を発症したという。
体の微細な傷から菌が入ったのか?
それとも接触するだけで危険なのか?
あぁ、だがそれよりも恐ろしい事実が───
発症時間が短くなっている。
7月12日
例の奇病の件にかまけてすっかり忘れていたが、明日はニューマジンシアでの槍試合の日だ。
慌ててシャイニング・パスに装備の調達を依頼した。
明日に備えて英気を養おうと思うものの、とても安らかに眠れる気分ではない───
7月13日
第一騎士スペクター殿と従士を連れ、ニューマジンシアへ赴いた。
普段石造りの城塞に慣れていると、この街の開放的な雰囲気はとても新鮮に感じる。
華やかで熱気に満ちた試合を、会場の人々は大いに楽しんでいたようだ。
私はというと戦績もまったく振るわず、浮かない顔ばかりして従士に心配をかけてしまった。
例の奇病については、まだ一部の者にしか話していない。
未知の部分が多い上、あまりことを公にしては都市規模のパニックが起きるおそれがある。
もしトリンシックが混乱に陥ったと聞けば、密輸業者や海賊どもが黙ってはいないだろう。
最も手早い解決法は……感染した者をすべてS.Bのように焼き捨てることだ。
だがまだ彼らは生きている。
動き回ることを生きていると呼ぶなら、だが。
どう決断するにせよ、とにかくアルバートの帰還を待ってからだ……。
7月14日
ここ数日の疲れが溜まっていたのか、トリンシックへ帰還してすぐ泥のように眠ってしまった。
ずっと悪夢ばかり見ていた気がする。
夕方になってようやく起きると、既にアルバートが執務室で茶菓子を食べながらくつろいでいた。
彼のにやけ顔を見て、こんなに嬉しかったことはない。
アルバートの持ち帰った情報と証拠は、想像以上のものだった。
隠谷では、確かに奇妙な研究が行われていた形跡があった。
隠谷に潜む魔術師たちは、おぞましいネクロマンサーだとも、フォロワーズ・オブ・アーマゲドンの残党だとも、シャドーロードの信徒だとも言われている。
だが今やその詳しい正体を知るものはなく、また彼らを罰するだけの証拠も掴めないが故に、トリンシックとしてもただ存在を無視し続けてきたのが仇となったようだ。
彼らの守る石造りの塔の傍には誰とも知れぬ無残に"バラされた"遺体が散乱し、内部には鉄格子で囲まれた監禁室まであったという。
幸い、と言っていいかは分からないが、アルバートが潜入した時にはもう誰も囚われていなかったようだ───おそらくS.Bも、ここに長期間監禁され実験を受けていたのだろう。
更にアルバートは数日かけて、彼らが密かに出入りしている隠し部屋の存在を突き止めた。
そこには暗号で書かれた研究書らしきもの、厳重に封をされた怪しげな小瓶などがあり、アルバートはそのうちの数点を持ち帰っていた。
想像するのもおぞましい染みがついた革表紙の中身は、アナグラムと思しき単語や奇妙な記号の羅列でわけがわからない。
エンサイクロペディア・マギカのメラニーなら、これらを解読できるだろうか?
一方の小瓶は、見た目だけは綺麗なガラス瓶だが、近くに寄せるとなんとも言えない妙な臭いがする。
中には透明な水のようなものが入っており、アルバートは「少し苦いですよ」と冗談めかして言った。
……まさか、飲んだのか?
とりあえずこの液体も明日ハーブリストのアランに渡し、成分を分析できないか依頼しよう。
それともう一つ、アルバートの報告の中にひどく気がかりなことがあった。
隠谷の魔術師たちに混じって、覚えのある顔を見たというのだ。
【血の卒業事件】の後から行方が分からなくなっている、ハイデン氏にそっくりな男を───
(インクの擦れた痕)
(よほど慌てて書いたのか紙がよれている)
かれらがにげた
イベント【TRINSIC OF THE DEAD】
7月1日
今日、街の外で負傷した人物を保護したと報告があった。
怪我をして川に落ちたのか、用水路の側に流れ着いていたそうだ。
まだ意識も戻らず衰弱も酷いため、ヒーラーギルドが総出で看護にあたっているとのこと。
命に別状がないことを祈る。
7月2日
昨日保護した人物について、詳しい報告書があがってきた。
男性、年齢は40前後、荷物はなく、衣服も殆ど身につけていなかった。
体には拘束されていたような痕があり、ヒーラーギルド長のバイロンが言うには長期に渡って監禁及び虐待を受けていた可能性が高いという。
山賊か、あるいは……
なんにせよ、一度様子を見に行く必要があるだろう。
7月3日
ヒーラーギルドへ足を運び、件の男性を見た。
報告どおりげっそりと痩せ衰え、生きているのが不思議なほどだ。
体の傷跡も見せられたが、あまりの惨たらしさに絶句した。
同じ人間をここまで痛めつけられるなど、まともな人物の所業とは思えない。
バイロンは、傷痕の様子から見て何らかの人体実験を受けていたのではないかと言っている。
この川の上流には、悪名高き隠谷がある……。
7月4日
隠密行動の得意なアルバートに、隠谷の様子を探るよう指示を出した。
まだ何の確証もないが、不安の芽は摘んでおきたい。
7月5日
S.Bはまだ意識を取り戻さないらしい。
S.Bというのは件の男性にバイロンがつけたあだ名だ。
Sleeping Baby、眠れる赤ちゃん……あまりセンスのいいあだ名とは思えないが、こう付きっきりで世話をしていると、少しばかりジョークを飛ばしたくなるのだろう。
手土産でも持って行こうかと思ったが、報告に来たヒーラーギルド員のエイワスに止められた。
S.Bの傷が酷く膿んで、今ヒーラーハウスは地獄のような臭いらしい。
どうりて鼻に妙なハーブを詰め込んでいたわけだ。
気の毒に思うが、なんとか職務を果たすよう励ましておいた。
7月6日
エイワスからS.Bがついに目を開けたと聞いて、ヒーラーハウスへ向かった。
あらかじめ警告されていたが、扉の外まで漂う悪臭にはぎょっとさせられた───それと、あの恐ろしい絶叫にも。
S.Bはもう肌のほとんどが腐りかけていた。
これでなぜ生きていられるのか分からない。
目覚めてからずっと叫んでは暴れ続けるので、ベッドに括りつけたのだとバイロンが苦い顔で言っていた。
鎮静剤や麻酔も効果が薄いようだ。
ともかく彼を落ち着かせなければ、他の怪我人を運ぶこともままならない。
スリープの魔法なら効き目があるかもしれないと、明日優秀な神秘術師を手配することにした。
7月7日
メイジギルドからマッティカン氏が来てくれた。
しかし、残念ながらスリープの魔法もまるで効果がない。
S.Bは一晩中暴れ続けたそうで、ベルトに擦れた部分は腐肉がこそげ落ち、骨まで露出していた。
こんなことを思うべきではないと分っているが……どうしても考えてしまう。
これは本当に人間なのだろうか?
ヒーラーハウスから移すことも提案したが、バイロンはすっかり彼に同情していて頑として頷かなかった。
赤ちゃんなどと呼んで世話していたせいか?
エイワスとブルーノは私同様、S.Bに恐怖を感じているようだ。
どうにも嫌な予感がして仕方ない……。
しかしそこへ至るには涙なしには語れぬ激闘の記録があったのです。
評議会1時間前に国王陛下がトリンシックとジェロームを行脚して
市長希望者を募って下さるとのことで、いそいそと正装で向かってみると
なんか会場出来てた……。
ま、また記者会見?!
立候補者用の席は3つも用意され、以前より反アーサー地下組織より
対立候補が送り込まれてくるのではないかという情報を入手していたので
否応なく戦慄が走ります。
が、別にそんなことはなかったぜ!
時間どおりに現れた陛下に独壇場で市長任命を迫ります。
そして陛下の指名に元気よく拝命奉った の で す が
市長になれない。
通常石クリックするとなんかメニューが出るはずが、何もおきない……
陛下に「何かメッセージ来たかね?」と聞かれても何も来ません!
やっやばい市民ばかりか石にまで拒まれるとかマジで革命フラグ乱立!!
いやこれはシャドーロードの陰謀に違いない……きっとそうだ……
トリンシック復活を阻む悪の組織が地下で胎動を始めているのだ!
何かあると真っ先に狙われるのがトリンシックであることは歴史が証明している!
だが僕はけして負けない!
トリンシックにパラディンNPCがうじゃうじゃ沸くようになる日まで!!
その後もあれこれ試すこと十数分。
ようやくクリックメニューが出て市長就任!
長かった……つらかった……(主に観客の哀れみの目が)
しかし契約金問題が解消された途端にこの陰謀!
今期からはトリンシックを覆わんとする闇の勢力について調べねばなるまいッ!
さて9時半からはジェロームのターン。
現地ではすでに立候補者がスタンバイ。
グラップラーとしても高名、かつ近年出雲闘鶏の主催として活躍中の
肉体派代表ロッチ師匠だー!
こっちにもシャドーロードの魔手が伸びてるのではないかと心配してましたが
0.5秒で市長就任してました。
……あ、うん……
ジェロームはまだ平和なようで何よりです!!
武勇の町に拳で闘う市長就任。
これから殴ったり殴ったり、あるいは殴ったりするイベントがあるかもしれませんね。
同じく武を尊ぶ町として、トリンシックも協力していきたいものです。
就任式の後は10時から評議会でした。
スピーチのことまるっと忘れてたので内容がないようでした……。
とりあえずTRINSIC OF THE DEADのCMはしておきました。
走れればスキルは何もいりませんので、暇な方はぜひ御参加下さい!
10 | 2024/11 | 12 |
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出雲フェルッカ デスパイス内
毎週土曜 夜11時~2時
次回のトリンシック市民会議は
2016年8月21日(日)夜10時
出雲トリンシック パラディン島
訓練施設内会議場にて開催
イベント予定
夏の益荒男祭り
蜘蛛城脱出大作戦!!
2016年8月7日(日)夜10時より
市政ストーン前集合
詳細は コチラ